財団法人星ヶ丘学園は、昭和23年5月23日(1948年)に設立され、平成26年4月(2014年4月)に一般財団法人星ヶ丘学園となりました。その沿革を4期に分けて述べ、そこに流れる理念と社会に果した役割の変遷を紹介します。
設立時の昭和23年は戦後の廃墟から復興の兆しが見え、国内で新しい施策が次々に実行されたのに呼応して、当学園も誕生しました。その母体は、大阪在住の修養団有志が設立した財団法人交野文化学園であり建学の理念(愛と汗)を次のように表現しています。
「人よ醒めよ 醒めて愛に帰れ
愛なき人生は暗黒なり
共に祈りつつ すべての人と親しめ
わが住む郷に 一人の争う者もなきまでに
人よ起てよ 起ちて汗に帰れ
汗なき社会は堕落なり
共に祷りつつ すべての人と働け
わが住む里に 一人の怠るものなきまでに」
設立時の寄付行為(定款)には、「女子の教養を高める学の実際化を図るに必要なる教育を授け以てわが国文化の発展に寄与し国際平和に貢献するを以て目的とする」と高らかに謳っています。
国内は復興のエネルギーに溢れ、オリンピック開催(1964年)による国威の発揚に沸き、日本万国博覧会(1970年)による先進国への仲間入りなどの西洋文化偏向の世に、洋裁教育は大きく発展しました。我が学園でも常時100名以上の洋裁学校の生徒が2教室に分かれて学び、技術を身につけた多くの女性を社会に送りだしました。建学の理念が、「いろんな人と親しみながら、自分自身でものを作る」という我が校の特徴に活かされ、技術を身につけることで自立心を持つとともに、新しい時代に即応した教養のある女性を育てました。
洋裁学校と並行して、星ヶ丘親和倶楽部が誕生しました。囲碁、体操などのサークルが活動し、地域の人たちとの文化交流を深めました。このように、社会の流れに沿って小規模ながらも建学の理念を実践しました。
1977年には役員を改選し、新しい体制で運営を始めました。寄付行為(定款)の目的も「大阪府の区域において女子の教育に関する授業を行うことにより、教養と学芸の育成を図り、もって我国文化の発展に寄与し国際平和に貢献する」というように、現状に合わせて変更されました。
戦後の復興期に大きく変化した日本は、豊かな安定した生活を獲得ましたが、労働組合の政治闘争化、景気の後退、公害問題の発生など新たな問題が発生しました。洋裁(ファッション)の世界でも、選択肢の多い商品が大量生産されるようになり、就職のために洋裁を学ぶことは増えても、自分で作るために洋裁を学ぶことは減少しました。「いろんな人と親しみながら、自分自身でものをつくる」という我が校の特徴を生かしながら授業を続けましたが、このような社会変化により生徒数は激減しました。最後の数年は教諭陣の高齢化もあり、休校のやむなきにいたりました。
平成10年(1998年)に新体制で洋裁学校が開校されました。当初は数名の生徒でしたが、5年かけて60-70名の生徒数になり、新たなスタートを切ることができました。「いろんな人と親しみながら、自分自身でものをつくる」という特徴に加えて、豊富な経験のある新しい2人の先生の就任、パターン製作を重視して立体裁断の採用などが再建に役立ちました。
新しく生まれた多くの文化活動が、学園存立の基盤を強固にしてくれました。ソバの会、ハーブの会、陶芸教室、喫茶店、ギャラリー、手作りの会、デッサンの会、自然の会などです。これらの活動は相互に連携しその効果を高めています。事業的に大きく分けると、服飾造形の教育による人材の育成(洋裁学校)、ギャラリーを中心とした手作り文化の発信(文化活動)、サークル活動による手作り文化の地域的交流(地域活動)の3つの活動で、これらが有機的に運営されるようになりました。
これらの活動には、創立時の理念(愛と汗)―いろんな人と親しみながら自分自身でものをつくるーが脈々と流れていますが、時代に応じてその社会的役割は変化しています。設立時の学園の周囲には人家がまばらで、天野川の蛍を学園から見ることができました。その後周囲に住宅が密集し天野川を見ることはできませんが、学園にはまだまだ昔のままの自然が残っています。この自然を大切にし、それから学ぶことも、特徴の一つに加わりました。
平成20年に始まった公益法人の制度改革により、平成26年4月に一般財団法人に変わりました。それと連動して事業改革推進チームを発足させ、洋裁学校の教諭及びカリキュラムを刷新し、新体制による運営を構築しました。従来の特徴の良さを生かしつつ、時代に即応した改革を実行し、新たな学園を育てたいと考えています。
Sewing(つむぎ つながり そして つづく)の愛称のもとに、
「自然の中で 自分らしく 共に学ぶ」
をモットーにしながら、3つの活動―洋裁教育事業、文化教育事業、地域文化振興事業―を
豊かに育てていきます。
1946年 | 4月 | 大阪在住修養団員有志により(財)交野文化学園(交野女子専門学校)設立。設立代表者に金沢泰司 |
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1947年 | 4月 | 交野女子専門学校付属として星ヶ丘英語学校開校、入学者115名。 星ヶ丘洋裁学校開校、入学者60 名。学校長 島田午雅。 |
1948年 | 5月 | 財団法人 星ヶ丘学園設立。理事長・学校長に白井繁太郎就任。教諭に吉沢純代就任。運営担当に中山貞夫が就任。 |
1949年 | 4月 | 校舎増築落成式。 |
8月 | 教諭に森本昭子就任。星ヶ丘親和倶楽部発足、入会者53名、地域の文化サロンとして活躍。 | |
1950年 | 4月 | 教諭に中山静枝就任。 |
1951年 | 4月 | 教諭に園部和子就任。 |
1952年 | 4月 | 教諭に京極信子就任 |
1977年 | 4月 | 役員の改選。中山静枝が理事長および学校長に就任。 |
1994年 | 4月 | 休校 |
1997年 | 8月 | 洋裁学校の再開校に向けた準備活動開始。ソバの会.が発足。 |
1998年 | 4月 | 洋裁学校再開校。教諭に高木道子、松浦喜美子就任。 ハーブの会.が発足。 |
1999年 | 4月 | 京極教室再開。 陶芸教室が発足。 |
2002年 | 4月 | 「SEWING TABLE COFFEE 」開店。店主 玉井恵美子。クウネルに紹介。 |
11月 | 「SEWING GALLERY」開場。永井宏氏の発案により中島恵雄代表と8人のスタッフが運営。 | |
2003年 | 8月 | 絵の会発足 |
2005年 | 4月 | 教諭に丸山増子、谷口希美子、森川茂美が就任。 「SEWING TABLE COFFEE 」店主 玉井健二、恵美子 二人体制となる。 |
2006年 | 3月 | 自然の会発足。ハーブの会を吸収。 教諭丸山増子退任 |
2007年 | 3月 | 教諭谷口希美子、森川茂美退任 |
4月 | 教諭に三笹朋子就任。 | |
2008年 | 4月 | 理事長および学校長に中山博之就任。 |
5月 | 創立60周年記念式典。 | |
9月 | 公益法人制度改革に対応するために、諮問会議を新設。 | |
2009年 | 1月 | SEWING GALLERYを学園事業に編入。代表中西裕子 |
4月 | 装廊(洋裁のギャラリー)開場。 諮問会議発足。 | |
8月 | 公益法人制度改革により、寄付行為の変更と各種学校の廃止を大阪府私学課に申請し受理。 | |
2010年 | 4月 | 洋裁学校の助手として、山田真悠子、敷地宏子を採用。 |
2011年 | 1月 | SEWING GALLERYの代表を中西裕子から濱田久美子に変更。 |
3月 | 洋裁学校助手山田真悠子退任。 | |
2012年 | 3月 | 東北大地震の被災者に、日本赤十字社を通じて募金。 |
2013年 | 1月 | SEWING GALLERYの代表を濱田久美子から桂聖子に変更。 |
2014年 | 4月 | 一般財団法人星ヶ丘学園の登記。 諮問会議を解散。 |
6月 | 学園の改革を目指して事業改革検討チームを発足。井原源夫 評議員退任。 | |
7月 | 高橋仁志 理事退任、足立典子 理事新任。 | |
12月 | パターンメイキング専科開設。 | |
2015年 | 3月 | 洋裁学校教諭、高木道子、敷地宏子退任。 |
4月 | 洋裁学校教諭 中山晋、渡邊洋平、岡田直美新任。 授業の新しい試みの実施。基礎科、本科に分ける。 | |
10月 | 洋裁学校教諭 中山晋 退任。 | |
11月 | SEWING GALLERYの代表を桂聖子から原田恵に変更。 | |
2016年 | 2月 | 「本と衣 教室」開設。 |
3月 | 洋裁学校教諭 北村朋子 退任。 | |
4月 | 洋裁学校教諭 田中佑有子 新任。 理事長及び学校長足立典子就任。 新谷和子評議員 新任。 |
「くじらと語る時」作詞作曲:くじらら
1.
やわらかな桜に 来る年も包まれて
木々の門 くぐれば 銀の針 待ちわびて
裁つ人育て 星ヶ丘
裁つ人育て 星ヶ丘
2.
天の川流れる 約束のこの場所で
星が出逢い つむぎ どこまでも つながって
祈りよつづけ 星の丘
流れよつづけ 星ヶ丘
3.
古い校舎の屋根 丸い月が見えたら
くじらと語るとき 学びの海 泳いで
風をうけ進め 星ヶ丘
大きな海へ 星ヶ丘
4.
真っ赤な 紅葉が 歌う 学びの実り
もの作る喜び 一針に想い込め
清らかな人 星ヶ丘
美しい人 星ヶ丘
星ヶ丘洋裁学校では、随時生徒を募集しています。
「私はこんな服を創りたい」という一人一人の思いを大切に、生徒の希望に寄り添った授業を、少人数制でおこなっています。ぜひ一度ご見学ください。
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